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委員会発言集

第150回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会議録 第三号

平成12年11月15日(水曜日) 午前9時30分開議

 ===== 谷本代議士の質疑応答部分(20分)を抜粋しています。 =====

北村委員長  次に谷本龍哉君。
   
谷本委員  21世紀クラブの谷本龍哉でございます。

 本日は、小泉参考人、藤原参考人そして鈴木参考人、本当に貴重なお時間をいただきまして、そして当初の意見聴取並びにその後の各委員からの質疑に対する御答弁を通しまして、皆さんそれぞれの北方領土返還にかける思いを伺わせていただきました。本当にありがとうございます。
 その中で、恐らく内容は幾つか重なるとは思いますが、何点か皆さんそれぞれに御質問をしたいと思います。

 私は、個人的なことですが、昭和四十一年生まれでございます。ということは、先ほど鈴木参考人の方からも話がございました、戦争を知らない世代でございます。それだけでなく、戦後の厳しい時代というものを ほとんど知らずに、生まれ育った時代は、日本がだんだんと回復をし好調に伸びていき、それとともに育ち、 そして社会人になってしばらくしてバブルが崩壊をし、今は低迷期にしばらく入ってはおりますが、しかしながら、過去の時代、あるいは他の国々に比べれば本当に恵まれた環境の中で生きてきた世代であると、本 当に幸運であると思っております。

 そういう世代でございますから、小泉さんがお話しになられた、敗戦の状況あるいは島からの強制退去の状況、またそれに伴って起こったいろいろな悲劇的な出来事、そういうお話を伺いまして、また鈴木参考人 の方からございました、自分の母親から、この苦しみは本当に体験した者でなければわからないよというよ うな言葉を伺いまして、本当に御苦労、大変な思いをされたのだな、そう思いましたが、同時に、軽々しくそ ういう思いがよくわかりますよというふうには言えないな、そう言ってしまうと本当にうそになってしまう、我々恵まれた世代には想像のつかないような出来事であったのだなということを強く感じた次第でございます。

 日本は、もう半世紀以上戦争というものを経験しておりません。これは、国際社会の中ではまれな国である。それは、日本国自体が努力をしてきたこともあり、また幸運にも恵まれて、この半世紀以上を平和裏に過ごしてきたのだと思います。  しかしながら、その半世紀を経た今であって、なおこの北方領土問題というものが未解決であるということ は、小泉参考人の方からお話しありました、北方領土問題の解決なくしては第二次大戦の戦後処理は終 わっていないという言葉がございましたけれども、まさに国家として非常に残念な状況であるというふうに考 えております。

 しかし、時間がたち、世代がかわっていく、そして私のように戦争もその後の厳しい時代も知らない人間が どんどんとふえてくる。その中で、決してあってはならないことではございますが、これだけ重要な問題に対 しまして、時間を経、世代を経る中で、意識が薄れてしまうこともある。

 そういう意味におきまして、お三方の率直な現在の思い、本音をお伺いしたいのですけれども、この国家と して非常に重要な問題でございます北方領土問題に対する現在の日本人の一般の方々の意識や認識と いうものについて、まず小泉参考人は元島民としての立場から、またその一世代を置いた後継者として鈴 木参考人、そしてこの問題の中心の地にあります根室の市長として藤原参考人、それぞれの立場から率直な思いを伺いたいと思います。
   
小泉参考人

 お答えいたします。

 委員も御承知のとおり、四十七の全都道府県すべてに北方領土返還運動を推進する県民会議等の組織 が設けられ、それぞれが各種の啓発活動を行っております。

 また、北海道議会の働きかけによりまして、全都府県の議会において北方領土の早期返還に関する決議 が行われておりますほか、国の関係省庁などによる啓発が行われておりますことから、北方領土問題に対 する国民の意識は高揚しているものと理解をいたしております。  以上であります。

   
鈴木参考人  お答えをいたします。

 先ほど来お答えを申し上げているとおり、重複する部分が多々あろうかと思いますが、よろしく御理解をい ただきたいと思います。  北方領土問題の国民意識につきましては、地域によって温度差はあると感じております。しかしながら、 これまでの返還運動を通して感じておりますが、着実に意識の高揚が図られているというふうに思っており ます。

 具体的には、二世、三世による北方領土返還要求全国キャラバン隊や、全国で開催をされております元 島民の語る会に後継者として参加をし、領土返還への街頭署名活動、そして啓発活動に努めておりまし て、こうした運動により、今や各地の県民会議において理解もされておりまして、着実に国民の意識は高ま っていると感じております。

 しかし、今後につきましては、若い世代を中心とした意識の高揚が大事かというふうに存じておりますの で、さらにこの辺の運動に努力をしてまいりたいというふうに考えております。これに対する御支援も賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。  以上でございます。
   
藤原参考人  お答え申し上げます。

 北方領土返還運動原点の地であります当市は、御案内のとおり、歯舞群島約百平方キロメーター、これ は現在、根室市の行政区域に入っております。しかし、御案内のとおり、現実的にはロシアが実効支配して おるという特異な市でございます。  また、北特法の中では、根室市長が旧六カ村の戸籍事務を担当する、事務を所掌するということになっておりまして、現在、旧四島の六カ村には二十二軒、六十二人が戸籍を有しておるというような状況の市でご ざいます。

 そうした中で、北方領土問題について歴史的な経過などを正しく認識することが、日ロ平和条約の早期締 結につながり、問題解決に寄与するとの観点から、今までいろいろな運動をやってきております。啓発運動 の中では、北方領土復帰促進キャラバン隊の派遣を初めとする、いろいろの啓発活動を実施してきております。

 こうした中で、御案内のとおり、現在、返還運動は国民的な運動へと発展いたしまして、昭和四十五年の 宮城県の北方領土返還要求県民会議の結成を契機といたしまして、昭和六十二年には全国に県民会議 が組織され、各種大会や研修会など、日常的な返還運動に取り組んでおります。

 また、五十六年には、閣議決定によりまして、二月七日を北方領土の日として制定されまして、同年に、 当時の鈴木内閣総理大臣が初めて根室市の納沙布岬から北方領土を視察されております。

 さらに、千島歯舞諸島居住者連盟が主体となりまして署名運動も展開されておりまして、平成十一年に は七千人を超える署名が集まるなど、確実に国民の関心は以前に比べますと高まっているものと認識して おります。

 先ほどから申し上げておりますように、この北方領土問題というのは、決して根室市あるいは一市四町、 元島民等の、地域に限られた問題ではなく、民族の誇りと尊厳をかけた、日本国の主権にかかわる重要な 問題であるというふうに認識しております。

 このことからも、より一層この問題に対する全国民の意識と認識を深めまして、世論を高揚することが大切 であるというふうに考えております。

 以上であります。
   
谷本委員  今、三名の参考人の方々それぞれからお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 それで、一点、鈴木参考人にお伺いしたいんですが、今、さらに若い世代への伝え方、そういうものをこれから考えないといけないという部分のお話もあったかに思いますが、三世の方々というのは、さらに下の年齢になってくると思いますが、そういう方々への伝え方、あるいは三世の方々のこの問題に対する意識、その辺はどのようにとらえられておりますか。
   
鈴木参考人  お答えをいたします。

 確かに、この学習の問題に関しては、二世、三世、一生懸命我々とともにしてやっている後継者は幾分理解をされて、返還運動に邁進をしているわけですけれども、それ以後の世代につきましては、やはり関心が 薄いということを実感をしてございます。

 そういうことから、先ほど来お話を申し上げていますとおり、教育においてこの問題を取り上げて、全国各 地でこの学習に取り組むことを要請いたしたいというふうに思ってございますので、御支援のほどをよろしく お願いしたいと思います。

 以上でございます。
   
谷本委員  どうもありがとうございます。

 藤原参考人の方からもあったとおり、これは本当に国家の大切な、重要な問題でございます。まず第一 に、日本国国民の世論あるいは意識、共通認識というのを本当に広げていくことが一番大事であると思い ます。そして同時に、この問題というのは当然、どれだけ一生懸命になっても日本だけで解決のつく問題ではございません。この問題は当然、ロシアとの二国間の問題でございます。

 ということは、日本国民の認識、意識を広げていくというのと並行いたしまして、ロシアにおいて、領土問題が存在するんだということ、そしてその解決に向けて日本が頑張っている、その姿勢を一般のロシアの国 民にも認識を広げていく、深めていくことが非常に大事な点だと思います。

 その中で、先ほどから、元島民と現在の島民とのビザなし交流のお話、あるいはまた政治的な交渉という もののお話、たくさん出ました。ただ、それだけではなしに、やはり一般国民同士の理解を深めるための努力というのも非常に重要になってくると思います。例えばスポーツの交流でありますとか、技術者あるいは教育者、文化人等の、そういう民間の方々の幅広い分野における重層的な、人的な交流というもの、これを築くことが非常に重要だと思いますが、その辺に関しまして三人の参考人の方々の御意見をお伺いしたい と思います。
   
小泉参考人  お答えいたします。

 北方領土問題の解決のためには、政治的な交渉、もちろんでございます。さらには国民の相互理解と友 好関係が重要でございますのは、委員御指摘のとおりと存じております。  なお、私ども、現地におりましてビザなし交流等々交流をしている中で、やはり最近は範囲が広がってまいりまして、例えば自然環境の調査であるとか、あるいはファミリーの交流であるとかそういうもの、あるい は日本語の教師が派遣される等、いろいろな面で最近は厚く、広くなってきているというふうに考えておりますので、今後もこのような形で進めていく必要があるというふうに考えてございます。

 終わります。
   
藤原参考人  お答え申し上げます。

 御承知のとおり、平成四年から、四島住民との相互理解の促進を図り、領土問題の解決に寄与すること を目的として、ビザなし交流が始まりました。北方四島との交流では、元島民や返還運動関係者だけでな く、平成九年度から専門家交流も行われるようになり、この中で、先ほども申し上げましたが、農業技術者や教育者、さらには画家や鳥類の専門家などの交流も行われております。

 これらのビザなし交流での対話交流やホームステイなどを通じまして、相互理解が進み、島により温度差 はありますが、四島住民の領土問題に対する理解も次第に深まっており、北方領土問題解決の環境整備 に寄与しているものと認識しております。

 また、当根室市にも、ここ二年の間に九回にわたり、外務省などの招聘したロシア人ジャーナリストが訪 問しており、私も直接取材を受けたりして、原点の地として、北方領土に対する思いや元島民の声などをこ れらジャーナリストを通じてロシア国内に伝えてもらっております。私は、こうした取材のときは、率直な意見 ということで生の声を伝えております。

 ロシア国内世論への働きかけは、聞くところによりますと、今月三日の日ロ外相会談でも取り上げられま して、ロシアのテレビ放送での日本のテレビ番組や映画を放映する、いわば日本月間のようなものが実施 されるというふうに聞いております。  今後とも、具体的な措置を講じていくことが大切であるというふうに認識しております。
 以上です。
   
鈴木参考人

 お答えを申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおりと存じてございます。私たちもビザなし交流で多くの島民と心を通わせてきおりますが、この件につきましては、ただいま理事長が申し上げましたとおり、私ども運動をともにする後 継者も全く同じ考えでございますので、御理解を賜りたいと存じます。

 以上でございます。

   
谷本委員  どうもお答えありがとうございます。

 最後になりますが、返還への道筋に関する質問をさせていただきたいと思います。  二〇〇〇年という期限の中でなかなかうまくいきにくい状況が今日あると思います。その中で、四島一括返還という話を先ほどから何度も参考人の方からもいただきました。そして、この四島の日本の主権の存在 の確認、そして日本への返還、これは一歩も譲るものではないという考えは私も同じでございます。ただ、 現在のように半世紀以上過ぎた中で、なかなかその道筋が明確になってこない、そういう状況の中で、この 解決にかける思いを持つ者としては、やはり何とかして一歩でも前へ進めたい、そして何とかいろいろな方法はないだろうか、そういう思いでアイデアを出したりあるいはいろいろな提案を考えてみたりという動きは当然あるものと思います。

 これは勘違いをされては困るんですけれども、後ろ向きとか、一歩でも引くとかあるいは棚上げするという ことではなしに、本当に一日も早く四島を返還してもらいたい、そのための努力をとにかくする。その中で恐 らくまた、九月の日ロ首脳会談のときにも一部で話題になりましたけれども、二島先行返還論といったもの もその中の努力の一つとして出てくるものであると私は思っております。

 確かに、四島かゼロかという中で、足して二で割って、二島で決着をつけるという論議であれば論外だと は思うんですけれども、そういう議論がたくさん出てくるということに対しまして、いま一度小泉参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
   
小泉参考人  お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、政府においては四島返還という一貫した方針のもとに御努力いただいていると理解 をいたしております。私どもといたしましても、四島返還を実現して平和条約を締結することを目指して、今後とも返還運動に邁進してまいる所存でございます。

 終わります。
   
谷本委員  今、明確な小泉参考人からのお答えをいただきました。

 同じ質問でございますが、二世の後継者である鈴木参考人にお伺いしたいと思います。同じ内容ではございますけれども、参考人のお話の中で、なかなか先の道筋が見えない中でどういうふうに引き継いでいけばいいかという悩みがあるというお話もいただいております。そういう立場も踏まえまして、全く同じであれば同じ意見でも構いませんし、また、一世代経てまた違う視点を持っておられるなら、それも加えてお答えを いただきたいと思います。
   
鈴木参考人  お答えをいたします。

 先ほど鉢呂委員にもお答えをしたとおりでございまして、この返還につきましては、四島返還を実現して平和条約を締結することを目的としているということで、ただいま理事長が申し上げましたとおり、私どももその考えでございますので、御理解を賜りたいと思います。

 以上でございます。
   
谷本委員  明確な答弁をありがとうございます。

 いろいろなことを考え、悩み、努力をするのが政治家の立場でございます。その部分は御理解をいただきたいと思いますが、何よりも大事なのは、元島民の方々そして後継者の方々の思い、気持ちであると思いますので、その思いを、きょう本当に生の声で聞かせていただいたことに心から感謝を申し上げまして、私 の質問を終わります。ありがとうございました。

 

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