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委員会発言集

第156回国会 衆議院
 憲法調査会基本的人権の保障に
 関する調査小委員会議録  第三号


平成15年5月15日(木曜日) 午前九時二分開議

 ===== 谷本代議士の質疑応答部分(15分)を抜粋しています。 =====

大出小委員長 次に、谷本龍哉君。
谷本小委員 自由民主党の谷本龍哉でございます。
堀部参考人におかれましては、長時間お一人で御苦労さまで
ございます。私はメディアに関しまして、倉田委員あるいは太田
委員と重なると思いますけれども、質問をさせていただきたいと
思います。  

日本という国は、私は、ある特定のものを神聖化したり絶対視す
る傾向あるいは風潮というものが強い国ではないかなというふう
に考えております。
例えば、この小委員会ではありませんが、別の小委員会で議論
をしました国連、これは第二次世界大戦の戦勝国が中心になって
つくったものであって、実際の現場というのは、各国、特に常任理
事国の国益、利害というものが激しくぶつかり合って多数派工作
を行ったり権謀術数を行ったり、そういう非常にどろどろした世界
であると思うんですが、しかしながら、日本人はこの国連というも
のを非常に公平公正で大所高所から正しい判断をするものだとい
うふうに思い込んでいる節があるように思われます。
国連というのは日本に対してはまだ敵国条項が残っている場所で
ありますが、それを盲目的に信じているというようなところがあるん
じゃないか。また、この調査会で議論をしているこの憲法、これに
ついても似たようなところがあるのではないか。

私は、人間がつくったものである以上、どのような法律であっても
決して完璧なものはない。しかしながら、完璧なものはないという
ことは議論を重ねて常に改正していくことが一番大事だというふう
に考えるんですが、不磨の大典というような言い方で今まで改正
されずに来た。たしか、そのままの形で残っている憲法、基本法
としては世界最古になるのではないかというふうに思うんですが、
そういう風潮がある。

その中で、次にメディアなんですけれども、これに関しては、少し
ずつ意識は変わってきているのかな、気づき始めている人もいる
のかなと思うんですが、それでもいまだに、活字になる、あるいは
映像になって流れる、そうするとそれをすべてそのまま信じ込んで
しまう、そういう傾向が非常に強いのじゃないか。
例えば、最近の例でいえばイラク戦争を見ればよくわかると思うん
ですけれども、あの報道の中でやはりその報道の仕方、これは、
報道する側の目的とかあるいは立場、思想、思惑というものによ
っていかようにもその伝わり方は変わるんだということがはっきり
見えたものだと思います。

確かに、全くのうそを流すということはないでしょうけれども、事実
を流しても、その事実の組み合わせは必ずしも真実にはならない。
方向性を決めてそれに合う事実だけを拾っていけば、思いどおり
に情報というのは操作できる。また、メディアの中には事実でない
ことを伝えるような場面も出てきます。それが報道被害というもの
につながってくるわけですが、逆に、この報道被害がどれだけある
かということについては余りメディアは報道しない、こういう現状が
あると思います。  

先ほど、その報道被害の話の中で裁判云々の話も出ましたが、
週刊誌等においては、もう裁判費用やあるいはそれによる罰金、
そういうものまで実は既に計算に入れて週刊誌を出している。
たとえうそとわかっていても、そして訴えられても、それでも売れ
ればいいという形で出しているものもたくさんあります。よく見られ
るように、大見出しを書いて、最後に小さなはてなだけつけてごま
かしたりというようなことが平気で行われている。これは、もうジャ
ーナリズムというよりもコマーシャリズムの方に極端に走っている
のではないかという気がします。  

こういう現状を見ていると、やはり今の社会、特に日本現代社会
においては、メディアというのはもう最大の権力になってしまって
いるんじゃないかというふうに感じています。政治家なんというの
は簡単に、ある意味ではメディアがその気になればつぶせるん
じゃないか、それぐらいの力を今は持っているんじゃないかと思い
ます。そして、それに対して厳しいチェックを行うということがなか
なかできない。チェック機能が働きにくい現状にある。

その中で、先ほど参考人も自主規制というものをしっかりやってい
くという話もされましたけれども、私は、本当にそれでやれるのか、
マスメディア、マスコミの中で自主規制というものが本当にこれから
機能をしていくのか。全く信じていないわけではありませんけれども、
いろいろな形のメディアがありますから、それをしっかりと規制する
ことができるのか、非常に不安に思っております。

ただ、憲法二十一条、表現の自由がありますから法律ではなかな
か難しいという参考人の意見もよくわかるんですけれども、今ここ
で議論をしているプライバシー権、あるいは知る権利を含めてアク
セス権、そういったものをもし今後この議論の中で憲法改正という
方向に進んだ場合にどのような形かで入れるとしても、それが表
現の自由、報道との、メディアとの関係で全く無力であれば問題が
大きいのじゃないかというふうに思います。

その辺のことに関しまして、どういう方向性、どういう方法が今後プ
ライバシー権とメディアの表現の自由との調和をとるのに一番ふさ
わしいかという参考人のお考えをお聞かせください。
堀部参考人

谷本先生の御指摘、そういう問題があることはしばしば議論に
なっているところでありまして、それにどう対応するのかというの
は、日本でも幾つかの時期にそれらについて議論がありました。

先ほど、プライバシーの権利ということを学界で研究するようにな
りましたのが一九五〇年代の特に後半ですが、その前に、やは
りメディアが表現の自由に名をかりてといいましょうか、それでか
なり問題になる記事を出したりしていまして、それに対応するた
めに、プライバシーの権利というものを対抗軸として主張していく
べきだ。それが一方で判例上も認められてきまして、かなりバラ
ンスがとれたかに見えると、またメディアの側がいろいろ問題に
なるような報道をしていく。

それに対して国民からの批判があって、またそれについてさらに
自主的な対応をする、こういうことになっておりまして、特に一九
八〇年代に入りまして、匿名報道主義というようなことが大分議
論になってきて、私が知る限りでは、メディアも、そういうようなこ
とで、原則、氏名、住所等は出さないというような方法をできるだ
けとるようにしてきているというところはあります。

しかし、そういう自主的な対応にも限界があるということは御指摘
のとおりでありまして、これまでは、先ほど触れましたような第三
者的な機関というのがないままで日本の場合にはメディアがそれ
ぞれ対応してきたというところがありますので、当面考えられます
のは、やはり第三者的な機関をメディア自身が設けることによって、
そのチェックを受けて、また、そこにはだれもが不服、苦情を申し
立てることができるようにするというようなことが考えられるかと思
います。

このことも、例えばイギリスですと、一九五〇年前後から、プレス
カウンシルというのができまして、ここが活字メディアについては
ずっと対応してまいりました。それから、放送につきましては、一
九七〇年代に入りまして、BBCと民間のITVとが、それぞれそう
いう第三者的な機関を設けまして対応する。今日では、放送につ
いては、法律上、救済機関を別に設けておりますが、新聞、活字
メディアの方でも、プレスカウンシルをプレスコンプレインツコミッシ
ョンと変えたりして、その時々に問題が出てきているものには対
応するという方法をとってきております。

日本では、今のところ、先ほど出ましたBRCが放送界ではできま
したが、活字メディアについては今のところありませんので、活字
メディアも今、まず各社で対応するということで、それぞれ委員会
をつくったりしているところでありますので、これを、もう少しそれぞ
れの業界できちんと対応できるようにしてみる。それで、やってみ
て対応が不可能だということであれば、また別途いろいろ考えて
いく。そこは今のところ具体的案はございませんが、そういった第
三者的な機関をきちんと設けるという議論をメディアとしてもしてい
くべきではないかと考えております。

谷本小委員 時間がなくなりましたが、最後に一問だけ。  
太田委員からも質問があったんですが、先ほど言いましたように、
ジャーナリズムといいますか、報道倫理というものをしっかりメデ
ィアが持っていただければ、自主規制ですべてうまくいくのであ
ろうと思います。しかし、そこに利益主義というものが入ってくる
中で、いろいろな問題が起こるんじゃないか。  

そういう中で、先ほど太田委員が言われたように、日本の場合、
裁判になって、そして、それが虚偽報道であったり、報道被害
があったと認められても、非常にその罰金といいますか罰則が
緩い。そのために、それをもう既に計算に入れて、それでももう
かるからやるという現状が非常にたくさんあるというふうに思い
ますが、それを防ぐためには、やはりさらにそれを厳しくする必
要があるんじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
堀部参考人 日本の損害賠償額が非常に低いということは以前から問題に
なってきていまして、最近、それが高額化してきております。

まず、それぞれの時代における、損害賠償額というのはどれ
が妥当かというのはやはり裁判所で十分審理をした上で判断
していますので、裁判所が今のところプライバシーの保護ある
いは名誉の保護ということで損害賠償を高くしてきているとい
うのは、一つの傾向として重要な意味を持っているかと思いま
す。  

アメリカの場合などは、以前から損害賠償額が非常に高いもの
ですから、やはりそこで、今度は、裁判所の判決との関係でも、
自主的に対応する場合にも、それなりのチェックをしていく。
各社に、全部かどうかわかりませんが、主要な新聞社ですと、
内部にそういった法的な観点からチェックする専門の弁護士が
いて、ここまで報道すれば、先例からして損害賠償になる、損
害賠償がどのくらいだからということで、きちんとチェックをする
という体制もとっているといいますが、なかなか個別の記事に
ついてまでチェックが及ばないということもありまして、先日も
ニューヨーク・タイムズの記者の捏造記事が問題になったりも
していますので、そういう問題をどんどん明るみに出すことによ
って、よりよいものにしていくというのは考えられるところではな
いかと思っております。
谷本小委員 どうもありがとうございました。  
以上で終わります。

 

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