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委員会発言集

第150回国会 衆議院 文教委員会議録 第四号

平成12年11月17日(金曜日) 午前9時30分開議

 ===== 谷本代議士の質疑応答部分(15分)を抜粋しています。 =====

西委員長  次に谷本龍哉君。
   
谷本委員  21世紀クラブの谷本龍哉でございます。
 本日は、四名の参考人の方々、貴重な御時間をいただきまして、本当にありがとうございます。
 早速質問に入らせていただきます。少し個別論点的な部分になりますが、よろしくお願いします。

 一問目は、教職員の質の向上という部分に関連をいたしまして、これは外務ともちょっと関係のある、論点の重なる部分ですが、海外への教員 の派遣という問題につきましてお考えをちょっと聞かせていただきたいと思います。
 といいますのは、江崎座長、教育のあり方に関する意見書の中で、まず、教育の基本理念というのは、天性を見出してそれの育成に努める、そ れぞれの子供の才能というのを見きわめて、それに合った教育をして最大限それを伸ばしていく。
そのための必要条件として、三十人以下の小人数学級、そして習熟度に応ずる教育、そして三点目にすぐれた教師の存在、この三つが必要であ るということを書かれていたと思うのです。

 それに関しまして、非常に個別的な論点ですけれども、海外、特に発展途上国への教師の派遣という部分について、実際、今、発展途上国にお きましては非常に教育に飢えている部分があると思うのです。
 大阪の方に、市民団体で大阪ラテンアメリカの会というのがございます。以前新聞でも話題にはなったのですけれども、そこがスペイン語の算 数ドリルの教科書をつくって、それをペルーに送って、そこで印刷をして配付した。その方々から少しお話を伺ったのですけれども、やはりそ ういう国々に行きますと、非常に教員も不足しております。そして、教材も不足しております。ですから、一冊の教科書を大事に大事に戸棚の 中にしまっておいて、使うときにそこから出してきて、子供たちみんなでそれを使うというような現状がかなり多くあると伺っております 。

 そういう中で、先ほど金子参考人の方からもお話がありました、特に先進国において、次の時代へ向けて 教育が非常に大事だとアメリカもイ ギリスも力を入れている。これは、発展途上国でも同じだと思うのです。 確かに資金的な援助というのも非常に重要でしょうけれども、やはり教育の部分をしっかりすることが、次の時代を、しっかりその国を発展さ せていく一番の礎になると思います。

 その中で、国際協力事業団、JICAの方の資料で見たときに、昨年度一年間に募集説明会に参加した現職教員というのが三百八十六名いらっ しゃいます。
しかしながら、実際に派遣された方というのは五十七 名、七分の一でございます。そしてまた、現職の教員以外の教育分野の方すべてを含め ますと二百九十八名派遣をされているのですが、現在、途上国からの要請というのは実は四百四十三名。ですから、全然足 りていないという ような状況にあります。

 この背景には恐らく、戻ってきた教職員の受け皿の問題ですとか、あるいは、現職の場合、特にそこを、 学校を離れる場合の職場の事情とい うのが非常に大きく関係しているのではないかというふうに言われて おります。
 そういう中でも、海外のそういった国々での体験というのは、教職員の方々にとっては非常に大きな意味があり、そして、自分がそういう地域 で特に教育に飢えている子供たちに教えるという体験は、視野を広げ、 それを持って帰ってきてまた日本で教育の現場に立ってもらう、これが持つ日本の教育に及ぼす影響というのは非常に大きいものがあると思う のです。

 そういう部分につきまして、小学生とか、先ほどから議論がありました中高生、あるいは十八歳以上の方々の奉仕活動という話もありましたけ れども、同時に、そういう生徒たちばかりじゃなしに教職員もその能力を磨いていくという意味では、こういう海外での体験というのは非常に 重要になると思うのです。
その受け入れ体制であるとか制度化であるとかというものに対してどのような御意見を持たれているか、四名の方の それぞれの御意見を伺い たいと思います。
   
西委員長

 手短にお願いいたします。

   
江崎参考人  今谷本さんのおっしゃるとおりでございまして、我が国はどちらかといったら閉鎖的な傾向 がある国でございます。
ですから、海外との交流というものはいろいろな面で重要でございます。

 特に今の、教職員というものを発展途上国に送り出す、これは双方に非常に利益がある。行った人たちが そういう新しい環境に触れますと、 視野が広くなるわけでございますね。それと同時に、その国にいろいろなベネフィットを与えるという双方性。

 これは、決して発展途上国だけではなしに、もっと先進国にも送るということもいい。これは非常にわずかでございますが、ニューヨークあた りには日本人がおりまして、日本人学校のようなものがございます。たしか、生徒が百人以上ありますと、文部省が校長先生を送ってくれるわ けですね。そういう校長先生と話しましても、日本と違っていろいろな新しい体験をする。そういう文化の交流ということですね。

 それから、日本の大学そのものも、留学生を受け入れる。アフリカとかそういうところの留学生を受け入れてこちらで教育する、生徒を受け入 れる、今おっしゃったことの反対でございますね、そういうこともどんどん発展させていく。私も筑波大学あるいは芝浦工業大学でも留学生を 受け入れておりますが、これは、大学そのものに非常に大きな刺激を与えるわけです。

 ですから、極端な例は、先ほど阪神の大震災にボランティアという話がございましたが、やはり人間という のは新しい環境に触れますと非常 に刺激を受けて、伸びるのです。  これは学者というものも、大体ヨーロッパでもどこでも、ポーストドックといいますか、外国に行って数年研究するということが、将来伸びる 一つの理由になっておりまして、私は、教職員の方々に大いに外国で体験 していただくということが、つまり視野を広げる、日本の将来のグローバリゼーションに絶対必要だと考えて います。
   
森参考人  教師の質を向上するために、現在既に社会体験の研修というのが行われていますが、それ を海外にも拡大してという、まこ とに私はいい御提案だと思うのです。

 といいますのは、子供たちは今直接体験が不足しています。これは文明のせいですが、便利になったために間接経験ばかり多いのです。そうい う中で、子供の問題を話すと、必ず大人も教師もとくるのですが、教師にもそういうことが必要だと思います。  
 それと、自分の経験からさえ学べない人が他人の経験から学べるはずがないのです。だから、自分の体験を豊かにするということが大事なのに 、今はそれに逆行しているので、こういう提案が出るということは、 私たちの提案もまだまだ発展する可能性があるなということで、非常にうれしく思いました。

 それと、全体の奉仕者ということで申しますと、子供よりも大人に奉仕せよということ、そのために教師を考えているということでありますけ れども、私は、教師こそ奉仕活動を、それから大人こそ奉仕活動をやるべき だという議論、それが出てきたのは、今やっていないからそういう議論が出てきているわけです。 だから、私 たちが子供に奉仕活動をと言わ なければそういうことも出てこなかったのではないかと思うのです。

 それと、既に教師は、教育公務員特例法で「教育を通じて国民全体に奉仕する」と書かれております。教師は、本来日常的に奉仕的にやってい なければいけないのです。大人もそれをやっていれば、教育の第一歩は模倣ですから、子供も自然にそれを模倣するわけですが、大人がやって いないから子供も、それでは鶏と卵の議論になるので、我々は、まず子供からやろうと。そうすると、大人もはっとして目が覚めたというのが 現状ではないかと思います。
以上です。
   
金子参考人  先ほどの山内さんの御意見にも少し関連するのですけれども、この報告を見て、教師よ、 しっかりしろ、能力を高くしろとい うふうに思える点があると思うのですけれども、実はそうではなくて、やはり いろいろな経験のある人、いろいろな考えの人、それから眠っている能力、意欲を発揮できるようにというふ うにして書いたつもりです 。
その一つの方法として、谷本さんがおっしゃるようなことは大変重要だと思います。

 それから、私も現場の校長ですので、これは非常に難しいですね。現場の先生はやはり現場を離れると いうことに対してかなり、おそれとい うか、やはり痛いというのがございます、帰ってきたときにどうなるのか。それから校長としては、ほとんどぎりぎりでやっておりますので、 この先生がいなくなるとどうなるのかというようなことがございますので、これはやはりある程度のことをしなければいけないと思います 。
 しかし、私は、もう少し基本的には、やはり校長が自分で採用をするとか、ちゃんと配属を決めるとか、こ の人にやはり行ってもらおう、そ のときにはこういう人を入れる、これは教育委員会、教育長にお願いするというのではなくて、もう少し自分でもってできるという中で、何年 間に一回は行くというようなことができれば いいかと思います。

 もう一つ、全然違うのですが、現在の教員に経験を積ませるのも大事ですが、既に経験のある人を教員に採用する、それは専任じゃなくて非常 勤でもいいと思うのですけれども、そういう二つの形をとって、子供たちに、いろいろな経験のあるいろいろなタイプの人に接してもらうとい うことが大事じゃないかと思います。
   
木村参考人  今の谷本議員の御提案は非常に重要な点だと思います。

 ちょっと視点をかえまして、一言だけ申し上げたいのですが、今、日本の全額出資で年間六百人、二百人ずつスリーバッチで六百人、アメリカ の小、中、高の先生に日本に来ていただいております。三週間いて、ホームステイしていただいて、各学校に行っていただく。この先生たちの 熱気が物すごいです。私は、これで三年目で、毎回つき合っておりますが、ぜひ一遍そのパーティーにでも御参加いただいて、アメリカの先生 たちがいかにすごいかという実情をごらんいただきたいと思います。

 それを逆に日本からもぜひやりたい というのが私のかねての希望でありまして、全く御提案には大賛成でございます。
 ただし、それは、今のは短期のプログラムでございますから、長期になるとなかなか難しい点があるのは御指摘のとおりだと思います。
   
谷本委員  非常にすばらしいお答えをたくさんいただきまして、ありがとうございます。

 時間が余りありませんので、次の質問をもう一問だけさせていただきたいと思います。
 次の質問は、大学のあり方の議論というのはいろいろされていると思うんですが、それと奨学金制度というものについてのお考えをひとつお伺 いしたいと思うんです。
 日本の奨学金制度というのは他の国々、先進諸国に比べて非常に貧弱であるという議論が多くされております。日本育英会の方の無利子の第 一種奨学金、有利子の、昨年から名前が変わりました希望21プラン奨学金、そしてまた各大学の制度、いろいろとございますが、今二〇〇〇年 度の現状では、日本では総額四千百五十一億円という資料をいただいております。

 それに比べまして、例えば米国、アメリカでは、民間いろいろ含めまして年間約四兆円超と、十倍近くのものがございます。
 これに関連しまして、森参考人の意見の中に、大人の幼児化という話があったと思うのですが、大人の幼児化と子供の劣子化、大人がだんだん と幼児化している。その大きなポイントに、この日本においては一体どのタイミングから、どの年齢から大人になるのかというのが非常にあい まいな部分があると思うんです。十八歳からなのか、それとも二十歳からなのか、あるいは大学を出た時点なのか。そういうものが、ある意味 で社会へ出てもまだなかなか幼児性が抜けないという部分でかなりあると思うんです。

 そういう意味で、私が思っておりますのは、ほかのいろいろな法律、制度との兼ね合いもありますけれども、例えば十八歳という線をしっかり と引いて、そこを超えればもう大人なんだと。ですから、そこからは、勉強したければ国から奨学金をいただいて、借りて、それで自分の力で 勉強する、あるいは就職する、どの道をとってもいいと思うんです。そのためにはこの奨学金というものを、現時点ではまだまだ、国公立で使 われているのが一六・四%、私立では五・七%ですから、どうもほとんど生徒は使っていないというのが現状だと思うんです。これを何とか、 制度的にも変えて、だれでも望めばそれを借りられるようにと。

 これは返していくわけですから、理想論を言えばお金は最終的には全然かからないという制度ですので、 どんどんと拡充をしてふやしていく 、そうすることで十八歳の時点でみんな選択をするんだ。自分でお金を借りて勉強するか、それとも自分でお金を稼いで生活していくかという 部分を選択するというような考え方とい うものを打ち出していくのはどうかなというふうに私は考えております。

 現時点では、お金を親から出してもらって、遊び半分でと言うと失礼かもしれませんけれども、そういう学生もたくさんいると思います。その 部分を変えていくためにも、そういった制度の改革というものも必要ではないかと考えているのですが、その辺のお考えをお伺いしたいと思い ます。
   
西委員長  どなたにでしょうか。
   
谷本委員  座長と森参考人とお二人に。
   
西委員長  では、森参考人それから木村参考人、簡潔に、お二人にお願いしたいと思います。  初めに森参考人にお願いいたします 。
   
森参考人  簡単にお答えします。

 奨学金については、私も国際会議に出たことがあるのですが、日本でスカラーシップといいますと、日本の育英会はこれは給付ではなくて貸与 だから違うのではないかと随分言われるのです。ですから、日本の奨学金と外国の奨学金は簡単に比較できないので、そういう意味では、日本 も給付のような奨学金制度の 確立がまず急務だと思います。それが一点。

 それからもう一つは、そういう奨学金を十八歳を過ぎたらということなんですが、私も、十八歳で選挙権をと いうことですから、十八歳で奉 仕義務なんというのも、これは大人としての入社式のような意味が今はありますから、いいと思うのです。ただ、今は、ローレンツが言うよう に文明社会では大人は幼児化していますので、全部大人ではないのです。ですけれども、そういう十八歳のけじめをつけた方がいいのではない かと、 簡単に申しておきます。
   
木村参考人  今谷本議員がおっしゃったことと私は全く同感でありまして、英国の事情をちょっと申し上 げますと、英国では今御指摘のと おり十八、つまり大学に入った時点から親から離れることが当たり前のことになっております。むしろ、親から離れないことは恥ずかしいこと だということになっております。

 それはどうしてそれができるかといいますと、今おっしゃったように奨学金制度ですね。もちろん債権、スチ ューデントローンという返さな ければいけない制度もたくさんできておりますけれども、奨学金が非常に完備しているために、自分で最低の生活はできるようなシステムにな っている。それが、日本と英国を比べまして、青年の社会的な成熟度に大きな違いをもたらしている原因になっているのではないかと思います ので、私も全く御意見に賛成でございます。

 ただ、世界的に見ていますと、財政の面でなかなか苦しくなっていることは確かでございますので、何か工夫をしなければいけないというふう に思いますが、御意見には全面的に賛成でございます。
   
江崎参考人  それでは、私の名前も出ましたので、ちょっと。
   
西委員長  では、お時間ですので、簡潔にお願いいたします。
   
江崎参考人  それでは、一言だけ申し上げますと、現在、日本の高等教育の普及は私学主導で行われいる。ですから、授業料が高い。つま り、教育費が高いということが一点あります。その点、異常にそうなんです。

 それからもう一点は、大学院を充実しなくてはいかぬ。やはり大学院は自分で働いて勉強するということですね。ですから、奨学資金とかなん とか、大学院生にはどんどんスカラーシップでやる、これはそういうふうにしていただきたいと思っております。
   
谷本委員  時間も過ぎましたので、お三人には、どうもありがとうございました。

 

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