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委員会発言集

第156回国会 衆議院
 憲法調査会安全保障及び国際協力等
 に関する調査小委員会議録  第四号


平成15年5月8日(木曜日) 午前九時二分開議

 ===== 谷本代議士の質疑応答部分(10分)を抜粋しています。 =====

中川小委員長 次に、谷本龍哉君。
谷本小委員 自民党の谷本龍哉でございます。
もうたくさん既に質問が出ましたので重なると思いますが。佐藤
参考人には、以前にも、政策勉強会の場で詳しく国連の現状に
ついて講義をいただきました。きょうも再びお話を伺ったわけでご
ざいますが、そのときに、私が持っていました国連に対する疑問、
国連に対してというより、日本人の大半が国連に対して持ってい
る幻想といいますか、それに対する疑問について明快な答えを
いただいたような気がしております。

今、話にもありましたけれども、日本においては、国連が、先ほど
言葉を選んでおられましたが、何か雲の上の神聖な、公平で公
明正大な判断を下す場であるかのような、これは報道の影響も
あるとは思うんですけれども、そういうイメージがどうもできている
ような気がいたします。実際には、決してそんな場所ではない、
各国の国益と国益がというより、主に常任理事国、戦勝国の国
益と国益がぶつかり合って、駆け引きがあり、そして多数派工作
に奔走するような、そういう場所だというふうに伺ったと思ってお
ります。

例えばイラク問題を見ても、私が思いますのは、確かに、最後ア
メリカが、いろいろな解釈の問題やいろいろありましたけれども、
結果として、最後の決議はないままに行った。これも問題はない
とは言いません、あると思います。しかし、一番最大の問題は、
参考人が言われたように、やはり十二年間もかかって、それでも
事態を進められなかった、国連が。その中には、常任理事国間の
それぞれの国益の違いによってそれだけ引き延ばされたんじゃな
いかというふうに私は感じています。それがやはり国連における
最大の問題であると私は思っております。

というのは、その状況が、もしそれで引き延ばしができるんであ
れば、国連の言うことなんて聞かなくても、常任理事国の一つか
二つをしっかりと、言い方は悪いですけれども、何らかの利益で
抱き込んでおけばそれで国連は何とか押さえることができる、こ
ういうモラルハザードが生まれるんじゃないかというふうに思って
おります。

そういった点について、今後の国連のあり方を含めまして、どう思
われているのか。また、国連の改革を日本が頑張って進めるにし
ても、それは、日本国民皆さんにも、では、今国連がどういう状態
か、やはりしっかり理解をしてもらう必要があると思います。
先ほど、国連の実態調査をこの委員会でしてはどうかという提案
もございましたが、そういうことも含めて、どういう方法でやってい
くのがいいのか。そういう点について、私の質問はこれだけですの
で、存分に時間をお使いになって答えていただければと思います。
佐藤参考人

申し上げたいことを先取りされたような御質問ですので、何をお話
ししていいかよくわからないんですが、私は、国連の仕事を終えま
してからこれまで半年以上の間に、恐らく三十回を超える数で、各
地の国連協会とかユネスコ協会とか、あるいはいろいろな勉強を
されている方のところに国連の報告も兼ねて伺いました。  
常に同じお話をさせていただいたのは、国連の実態、日本の国内
で描かれている国連についてのイメージ。

日本の場合には、恐らく緒方貞子さんあるいは明石康さんの姿に
重ね合わせて国連についてのイメージを持っておられるんだろうと
思います。それも一つですけれども、百八十九カ国、百八十八の
国を相手にして、私が、日々、いつも言っているんですが、一番使
ったのは胃袋でして。というのは、国連というのは、昼間はほとん
ど建前の演説の読み合いみたいなことをやっているところですから、
落としどころを探るのはお昼御飯か夜御飯しかない。胃袋、ハート、
頭の順序で使ったと私いつも申し上げている、これは本当の実感
なんですが。そういう中で、各国が自分の利益、利害をかけてせ
めぎ合っている、これも国連の姿だということをわかっていただき
たいということを実は全国でお話をしてきたんです。

ただ、他方で、国連で物を一つ変えようということは大変時間がか
かります。ですから、それは理解をしていただいて、日本は、やは
り国連改革、特に安全保障理事会の改革の先頭に立っていくべき
だ。私、その都度常に繰り返して申し上げているのは、常任理事
国になるかならないかは、それは日本国民の皆さんが判断される
こと。ただ、国連をよくするためにも、国連を本当に第二次世界大
戦の戦勝国の組織から二十一世紀の組織に変えていくためにも、
やはり安保理改革というのは大事だ。だから、日本が本当に国連
を――私、実は国連中心主義という言葉は使ったことがないんです、
先ほど申し上げたように、私はこういうふうに解釈していると申し上
げただけで。でも、もし国連を大事とお思いになるんだったら、やは
り安保理改革を進めていかなきゃいけないということに御理解を得
たいということを申し上げてきました。そこで、同時に、日本として
常任理事国になるかならないか、それについては、やはり国民あ
るいは政治レベルで議論を重ねていっていただきたい。  

私は、ニューヨークにいるときに、先ほどもちょっと触れましたが、二
週間か三週間に一遍、報道関係の方と記者会見をして、国連のこ
とというのは余り秘密というのはございませんから、克明に多数派
工作の話とかをしていたんですが、ニュースにならない。国内へ帰
ってきますと、私、大体いつも七、八十人の政界の方あるいはマス
コミの方、論説委員の方をお訪ねして、何とか考えてくださいと言っ
ても議論にならない。そこにももう一つのじれったさを感じています。  
したがって、実は、憲法調査会の方々にも本当に国連を見ていただ
いて、あるいは、これがまた国連あるいは安全保障理事会に対して
日本はどう対応していくかということについての国民的な議論を起
こすきっかけの一つにしていただけたら大変ありがたいと思います。

谷本小委員 質問は以上だったんですけれども、少し時間がありますので。  
もう一つは、先ほどから拒否権の話をいろいろされております。
確かに、拒否権があるということは、一つの国の反対ですべてが
決まらない、余りにも民主的じゃないルールだというふうに思うん
ですけれども、この拒否権をなくすという場合に、その後の安保
理の姿、あり方というものについて、いま一度お話を伺いたいと
思います。
佐藤参考人 先ほど、井上委員でしたか、御指摘のとおり、常任理事国が既得
権を放棄する、特に拒否権を放棄すると考えるのは幻想だと思い
ます。その点は、井上先生のおっしゃるとおりだと思います。  

私は、望み得ることは、安保理事会を改革するときに、新しい常任
理事国と古い常任理事国との間の折衝を通じて、拒否権の使い方
について何らかの制限をかけていく、それが一つの、今の段階では
最も現実的に望み得ることではないかと思っています。

したがって、例えば九九年の春でしたが、マケドニアに展開している
国際平和維持軍の期限延長について、中国が拒否権を発動しました。
その直前にマケドニアが台湾を承認したからなんです。中国は決して
そうだとは言いませんが、みんなそう理解しました。チェチェン問題が
安保理事会に上がらないのは、ロシアが拒否権を出すのがわかり
切っているからです。

中東問題では、アメリカはよく、イスラエルに不利になるようなことを
防ぐために拒否権を使います。こういう国が拒否権を放棄するとは
私はとても思えないんですね。だから、それをいかに制限していくか。
それは、新しい常任理事国、やはり安保理改革を進める過程の中で、
しかも、新しい常任理事国を生み出していくというエネルギーを使って
その制限をしていくしかないと思っています。
谷本小委員 以上です。終わります。

 

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