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委員会発言集

第156回国会 衆議院
 憲法調査会安全保障及び国際協力等に関する
調査小委員会議録  第一号


平成15年2月6日(木曜日) 午後二時〇一分開議

 ===== 谷本代議士の質疑応答部分(10分)を抜粋しています。 =====

中川小委員長 次に、谷本龍哉君。
谷本小委員 自民党の谷本龍哉でございます。
森本参考人、五十嵐参考人、長時間本当にお疲れさまです。
最後の質問者でございますので論点もほとんど言い尽くされて
おるんですけれども、少し質問させていただきたいと思います。

一問目は、ちょっと仮定の話に対するお二人の考え方をお聞き
したいと思うんですが、日本がテロ攻撃を受けたときの状況に
ついてなんですけれども、確かに、戦争が起こらないようにとか、
テロを根絶するために日本が国際舞台で最大限努力をする、
これは必要なことだと思います。ただ、それでも一〇〇%それら
がなくなるということはまず考えにくいのではないか。そういう中で、
現状は、貧困や経済格差からテロ組織ができる、中にはそれを
支援する国もあるという状態が続いています。
ただ、これから先もしかすると、支援するだけじゃなくて、それを
活用しようとする、あるいは、テロ組織自体が傭兵的な性格を帯
びるような可能性がないとは限らないと私は思います。

先ほど、国家間の紛争というのはなかなか起こりにくい、これは
事実だと思います。その理由は、非常にコストがかかる、あるい
はリスクがある、面と向かって戦いを挑めばやり返される。である
ならば、国の中には、それを避けて、そういう傭兵的な性格のある
テロ組織に資金を流すことだけによって特定の国にダメージを与え
よう、そういうことを考えるところが出てこないとも限らない。

そういう場合に、もしその標的に日本がなった場合、これは形として
はテロが起こるわけですけれども、実際には傭兵を雇った戦争と変
わらない、実質的には戦争と変わらない、しかしながら表面的には
テロである、こういう状況が日本で起こった場合に、現状の日本の
制度、法律の中で一体どういう対応ができるのか。全くそのお金を
流している国がわからない場合にはどうなのか。もしそこに資金を
大量に提供しているという事実がはっきりと証拠として判明した場合
にはどうなのか。その中には、例えばそれは実質上戦争であるから
自衛権の行使ができるという判断ができるのか。その辺のお二人の
考え方をお伺いしたいと思います。

森本参考人

これはまさに仮定のお話なので、こちらも仮定でしか議論がなかな
かできないのですが、そのテロなるものが日本の国益をどのように
侵害するような事態になるのかということによると思います。

例えば、一人だけがある一人をテロにしようとして入ってきたという
場合は、自衛権を行使してやるということについては必ずしもなじま
ないので、したがって、あくまで仮定の問題としてしか我々は考え
られないのですが、仮にそれが大規模で、ある特定の主体が明確
な意図を持って日本の国益あるいは国民あるいは領土を侵害する
ということが何らかの方法によって明白であるというような場合には、
これは私は、国家は自衛権を行使してこれを排除し、同時にこれを
国連に提訴するということができるのではないかと考えます。

ただし、この場合、国家の主権というものをどのような形で行使
するか、すなわち自衛権を行使するに値する行為であるかどうか
ということについては、よほど慎重にしなければ、自衛権の行使
という問題を拡大解釈するということは国際法上は大変危険な
行為なので、したがって、十分に慎重にやりながら、まず重要な
ことは、これを排除し、その証拠を突き詰め、そしてこの問題を国
際社会の中に持ち込むという方法しか今ないのではないか。

つまり、その三つの方法というのは、実はそれぞれが大変難しく、
初めはだれがどのような意図を持って日本にしかけてくるのかと
いうことが判然としない場合、相当に情報収集の能力が高くなけ
ればこの種のテロを未然に防止したり排除するということは不可
能であります。そういう意味では、情報機能の強化と、それから、
資金というものがテロ活動の最大のモチベーションといいますか、
要するに要因だということを十分にわきまえてテロ対策を進めて
おくということによって未然に防止する、あるいは抑止の機能を
強化するということしか今はとり得ないのではないか、このように
考えます。

五十嵐参考人 どういう事態を想定するかによって答えがおのずと違いますが、
非常に抽象的ですが原則論を考えるとすれば、私は、国際法の
ルールにのっとって対処するということであります。

その一番重要なことは、テロは、程度にもよるわけですけれども、
私の考えでは基本的に戦争ではありません、テロの定義にもより
ますけれども。そういう場合には、国際刑事裁判所というものに
よって裁くというのを国際法的なルールにして、そこが第一義的に
管轄をすべきであるというふうに思っております。どうも日本で議論
をするときに、直ちに日本の自衛権になってすぐ自衛隊と、こういう
ふうに言われますけれども、まず原則、国際法のルールにのっとる、
それから国際刑事事件として裁くというのを確立すべきであるという
のが私の意見です。
谷本小委員 では、最後の質問者でございますので、お二人、もし何か最後に言
い残したことがあれば、一言ずつ言っていただければと思います。
五十嵐参考人 冒頭に申し上げましたけれども、憲法には非常事態に関する規定は
ありませんが、非常事態は起こり得ます。これに対する有効で具体
的な対処をするのは国会の責務であるというふうに考えております
ので、ぜひ鋭意検討なさっていただきたいと思います。
森本参考人 私は、やはりこの種の問題を解決する基本的な法的枠組みとして、
現在の憲法の中に規定がないということがすべての問題を難しくする
原因のうち最大の原因なのではないかと考えます。その意味におい
て、やはり国家の緊急事態あるいは非常事態に対する国の取り組み
方を憲法の中に条文として書き込むという必要があると思います。

しかし、では、その憲法というものの手続をするまで何もできないのか
というと、決してそうではなく、国としてこのような各種の事態に取り組
む基本法なるものをまず整備して、この基本法に基づいて、国のあり方
といいますか、国の体制づくりをきちっとするということによって国民の
安全を守り、国民に意識を目覚めさせ、かつ国民に必要な訓練を行う
ということが不可欠なのではないかと思います。

私は、そのために、一番卑近な例として、政府及び民間の実務者がみ
んな集まって、いろいろなケーススタディーというんですか、シナリオを
つくって、図上演習というんですか、シミュレーションを一度やってみて、
どういうケースが起きると、どういう法律上の欠陥があり、どういう事態
になるのかということを、例えば政府、それから専門家、それから地方
公共団体の責任者並びに立法府の方々がみんな集まって、幾つかの
シナリオをつくって、シミュレーションをしてみて、問題を整理して、それ
をベースにして議論をするという運動をしてもよいのではないかと考え
ます。以上でございます。
谷本小委員 以上です。ありがとうございました。

 

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