| 西委員長 |
次に谷本龍哉君。
|
| |
|
| 谷本委員 |
21世紀クラブの谷本龍哉でございます。
本委員会では初めての質問ですが、よろしくお願いをいたします。 時間がないので早速始めさせていただきます。
本日は、まず、ゆとりの教育及び二〇〇二年実施予定の新学習指導要領に関連して何点か質問をさせていただきます。
まず一点目は、学力低下の問題についてでございます。他の委員との重なる論点もありますが、御容赦願います。
最近新聞報道等でも話題にもなりましたが、分数や小数の計算問題をできない大学生が増加している、 そういうふうなデータも発表されまし
た。それに対しまして、文部大臣の諮問機関であります教育課程審議会は中間報告案の中で、大学生に分数や小数の計算問題のテストをさせた
り、あるいは歴史上の年代を聞いてみるなど、知識量や受験学力のみで学力をとらえようとしているというふうに批判、反論をいたしておりま
す。
しかしながら、アインシュタインの相対性理論を論ぜよとかそういうことであればまた別ですけれども、分数や小数の計算というのは、大学生
レベルにおいては本当に基礎中の基礎であると私は思います。 この部分を正しく理解していない大学生が、さらに高度な応用力とかあるいは創意工夫の能力を身につけているとはなかなか私には思えないん
です。
そしてまた、これは大学に限らず、これは例を出して悪いんですが、例えば一九九六年の鹿児島県の県立高校の入試の調査結果があるんですが
、まず小学校レベルの千引く百九十八、こういう問題が出ておりました。答えは暗算でもわかるとは思いますが、八百二なんですね。これはも
う数学ではなくて算数の問題ですが、これの誤答率が七・九%、さらに「前提」という漢字を書けない受験生が六三%、そしてまた、「拒
む」という字を読めない受験生が二六・九%という結果が出ております。
ほかの、他府県の資料はまだ集まってはおりませんけれども、このような傾向は恐らく全国的にある程度進んでいる状況ではないか、小学校か
ら大学までの各レベルにおいて学力の低下が進んでいるのではないかというふうに実は危惧をしているところです。
本来、言うまでもなく学校というところは勉強をするところでございます。そうであるにもかかわらず、恐らく ゆとりの教育という言葉のイ
メージが、あるいはまた意欲や思考力というものを強調し過ぎる余りに、知識を たくさん教えたり与えたりすることは好ましくないとか、あるいは長時間勉強させることはいけないことだというような、誤解といいますか、
誤った、勉強を悪者扱いする否定論的な風潮が広がってしまって、そのために このゆとりの教育において最も重要と主張をしております基礎、基本の学力というものが非常になおざりに
されてきているのではないかと私 は感じております。
この学力低下という問題に関しまして、文部大臣はどのようにお考えでしょうか。
|
| |
|
| 大島国務大臣 |
今谷本委員が、学力低下ということについて委員の調べた現状と感想と問題提起をされました。
伺っておりまして、私も決して頭のいい方じゃなかったし、できる方でもなかったのでございますが、少なくとも今言われた拒むとかその辺は
、大学に行ったら書けたろうな、こう思いました。なぜ大学に行 っている人がそういうことを知らないのだろうか、そういうことを身につけていないのだろうか、ここだと思うん
ですね。
確かに、私どもは新学習指導要領で全体の精査をして、一単位ぐらいずつ減らしたという批判と御指摘を いただくのでありますが、もう少
し、少なくとも高校へ行く人は、中学では最低でもこれだけは何回繰り返しても身につけさせておきたい、まずその基礎を身につけさせておき
たい、ここがまず基礎にあります。
実は、IEAというところで国際的な比較をやるんですが、日本は、知識を覚えているという試験においては まだナンバースリーの中に入
ります。
ただ、興味を持つかとか、アチーブ的なテストじゃなくて、問題意識を持って解決しようという、何かそれらしきテストをやると低くなる
。
ですから、その知識の、知っているというところを落とすのじゃなくて、きちっと押さえながら、そういう、自分で問題意識を発見する、ある
いはまた興味を持って向かっていくというところの点を強くしていかなきゃならぬな、こう思っております。
したがって、先生おっしゃるように、ゆとりという言葉がひとり歩きしているところに実は私も率直に言って悩ましいようなところがある
。我々の方針、総合的学習も、相当これは徹底して学校現場にもう一度説明しその精神を生かすようにしないといかぬな、この国会の議論を聞
いていても、先生の御議論を聞いていて、そう感じました。今思うことはそういうことでございます。
|
| |
|
| 谷本委員 |
大変率直な御答弁をありがとうございます。
今のお答えと関連して二問目に入るわけですけれども、今、私は資料を一つ持っております。
では、日本の小中学生はどれぐらい勉強をしているのかというので、既にいろいろ資料もありましたし、先ほど授業時間数も他の委員から話が
ありました。
実は、国立教育研究所の資料によりますと、先進諸国の、これは中学一年の数学の授業時間ですけれども、年間平均百三十時間。それに対して
、日本は年間 九十九時間で先進国中最下位。
これは、新指導要領ではありません、現時点の数字です。
さらに、学校の授業だけじゃなしに、では次に、学校以外でどれだけ勉強しているか。塾を含めての時間 は、調査対象三十九カ国中、日本は
三十一位です。
これは一九九四年から五年にかけての調査です。ちなみに、同じ数字が、一九八〇年代では日本は世界で一位にございました。
こういうふうに、現状でもかなり日本の子供たちの勉強時間というのは減っているという調査の結果が実はございます。
そして、それを踏まえた上で、次、二十一世紀目前の中で、今世界中の国々、特に欧米諸国、アジア 近隣諸国においても、次の時代を、いわ
ゆるITというものも含めて頭脳パワーの時代ととらえて、国際競争力を確保するために各国が全力で教育の向上というものに今取り組んでき
ております。
ことし行われたG8の教育大臣会合におきましても、サマリー議長の方から、「現在労働市場で求められる技能のレベルは非常に高く、すべて
の社会は教育レベルの向上という課題に直面している、高い技能レベ ルを身につけ維持できる者は成功をおさめることができるが、そうでない者はかつてない疎外の危険に直面
している」、このように指摘がさ れております。
先ほどからの繰り返しになりますが、こういう状態にありながら、日本、我が国の場合には、ゆとりの教育という言葉や、あるいは二〇〇二年
の新学習指導要領におきます完全週五日制、学習内容三割削減、こう いった言葉がまずひとり歩きをいたしまして、一般の国民や、あるいは教育現場においてさえ、実はこの教育改革が、教育の向上ではなくて教
育の質と量を低下させていくものではないかというとり方をされているんじゃないか、そういう危惧をするわけでございます。
ですから、今回この場で新学習指導要領が目指す方向性というものをいま一度明確にしていただくととも に、やはり学力を高めていくために
するんだという点を、国民や教育現場に、またそれはどのようにするのかというのも含めて伝えていくべきと考えますが、文部大臣の見解をお
願いいたします。
|
| |
|
| 大島国務大臣 |
改めてまた谷本委員からの、国際的な比較論の中における我が国の新学習指導要領 に対する御心配と問題提起をちょうだいしました。
文部省は、新学習指導要領の方向性を一言で言うならば、学力の実質化、このことを目標といたしております。それは、基礎的学力をしっかり
身につけながら、そしてその上に立ってみずから考えるという学習を取 り入れていくことによって、興味を持つものに向かう、あるいは習熟度的な授業、クラス編制的なものもできる。
そういうことによって、それぞれのいわば個性、思いにある程度合わせられる、適応できる学校教育を考えてまいりたい、そういうことによっ
て生きる力を身につけさせたいという方向を持っております。
そして、今のような、谷本委員のような御心配があるわけですから、私たちは当然に、今の子供たちがどの程度の学力程度であるか、ここのい
わば調査体制をきちっと一方においてしておかなければならないと 思っております。
その学力テスト、全員ではありませんが、当面そういう、今の子供たちは、国語に対して、 理科に対して、算数に対してどの程度の学力でい
るだろうかということをしっかりと把握する仕組みを持ち、 そういうことを対比しながら、絶えずある意味では見直すべきところは見直していかなきゃなりません。
多くの、お子さんを持つ御両親の皆様方あるいは学校の先生方にもう一度申し上げますと、学力の実質化、基礎をしっかり身につけさせて、そ
してその上に立って、みずから考える力、みずからの興味を起こして追求する力、その結果として習熟度的な授業も行うかもしれないし、その
結果として、もう一度あるいは理科に興味を持つ者たちを集めてそこに向かわせるかもしれない、そういう個性に合わせた授業というものも考
えていきたい、これが今私どもが目標とするところでございます。
|
| |
|
| 谷本委員 |
実は、次の質問までを含めてもう答えをいただいてしまったのです。
次に、当然に成果をはかるための評価基準が必要であろう、その点についてという内容があったのですが、既にお答えをいただきましたのでそ
れは省かせていただきまして、時間がない中ですので、あと二問ほどあるのですが、一度に聞かせていただきます。
その新学習指導要領におきまして、画一的な教育から個性を伸ばす多様な選択のできる教育へというこ とが言われております。
これは、すなわち、理解に時間のかかる子にはゆっくりとじっくりと教えて、そして、 逆に早くできる子にはさらに高度な内容を教えるとい
うふうに私は理解をしておりますが、この場合、この学習指導要領の果たす役割というのがあくまで最低基準であって、それ以上の内容をも当
然に進める子には教えていく、そう理解をしてよろしいのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
|
| |
|
| 大島国務大臣 |
私は、基礎という言葉を使いましたが、まさにそういう意味では最低基準としての性格 を持っておる、こう考えていただい
て結構です。
そして、その上に立って、もっともっと興味を持って勉強していきたい子には、その教科書、新学習指導要領の上においた、先生方の自分たち
のそれぞれのテキストあるいは材料を使って伸ばしていけばいいと思 いますけれども、過重に子供たちに負担にならないようにしてやらなきゃならぬと思います。先生のおっしゃるようなことを想定しております
。
|
| |
|
| 谷本委員 |
二つ一度にと言って、分けてしまいましたが、もう一点です。
こういう教育を進めていくということは、すなわち全国で、既に東京都や岐阜県なんかは小中学校の選択 制というのを、自由化というのを導
入し始めておりますけれども、画一的な教育から多様な教育へと移して いくということは、当然に各学校がそれぞれの独自色を持つようになるということであると理解しております。
であるなら、当然、選ぶ側にもその選択肢の幅というものを広げていくべきだと考えておりますけれども、今 のこの各都道府県の流れについ
て、今どういうふうな見解を持たれておりますか。
|
| |
|
| 大島国務大臣 |
最終的にそれぞれの地方の教育委員会がお考えになることだと思っております。
私も、選択できる学区、品川区でございますが、拝見したことがあります。いい点もある。それは、この学校が、小学校、中学校、コミュニテ
ィーが一体となって、負けないようにしようと言ってより一体性が強まってまいります、こういうことを言っておられました。我々は、こうあ
らねばならないというのではなくて、地方の独 自性にその判断をゆだねて、最終的には地方の教育委員会が考えることだと私は思います。
先ほど先生おっしゃったように、まさにそういうふうな学校になっていくわけですから、その学校自体の、校長先生を中心としたその創造性、
独自性というものが問われてくる。そういう意味で、繰り返すようですが、 先ほど札幌の問題、北海道の問題がありましたけれども、だから、そういうことにはきちっと文部省としては
対応しながら、やはり校長が教 員の皆さんと、子供たちが本当に生き生きとした学校をつくりたい、つくって もらいたい、これが一番勝負になるんじゃないか、こう思っております。
|
| |
|
| 谷本委員 |
もう時間がなくなりましたので、最後に一言だけ。
話題が飛ぶようであれですが、プロ野球の世界でイチロー選手が、本日、大リーグからの最高入札額十四億八百万と破格の値段がつきました。
これは、野球少年に対しても大変大きな夢を与える出来事ですし、また日本人にとっても勇気を与えていただく出来事だと思います。
ただ、このような天才打者と言われる方でも、そうなるまでには、裏で非常に大きな努力、長時間にわたる訓練、血のにじむような努力を重ね
てきているのは当たり前のことでございます。
最近の教育行政の流れの中で、子供にただ楽をさせようとか楽しくという部分ばかりを強調するのではなしに、努力することの大切さ、あるい
は目標を持って一生懸命にやる、それがすばらしいことだということをやはり基本に据えてしっかりと教え込むことが本当の生きる力であると
私は思っております。その点を述べさせていただきまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
|