| 国会通信 by 谷本たつや 2005.7.5(第32号)
クール・ビズ考・・・夏の正装を決めるべきでは
この夏、国会がある永田町では、例年では見られない不思議な光景が
出現している。スーツ姿でネクタイをしていないいかにもだらしなさそうな
格好の人間や、派手なカラーシャツを着た少し強面(こわもて)の人間や、
沖縄の「かりゆし」を着たかなりリゾート気分の人間が、たくさん歩き回っ
ているのである。彼らはもちろん、「永田町の住人」である国会議員と
お役所の方々である。そして原因は、「クール・ビズ」なる言葉が生ま
れたためである。
「クール・ビズ」の説明を環境省のホームページで見ると、「温室効果ガス
削減のために、夏のエアコンの温度設定を28℃に。そんなオフィスで快
適に過ごすために、環境省は夏のノーネクタイ・ノー上着ファッションを提
唱しました。その名称を公募、決定したのが『COOL BIZ』です」と書か
れている。日本のすべての事業所において、夏の冷房の設定温度を28
℃にすると、ひと夏で約160〜290万トンの二酸化炭素の削減になるそ
うである。
確かに、ワイシャツにスーツにネクタイというスタイルはヨーロッパのように
寒い地域に適した礼装であり、日本の夏には適さない。環境対策という
意味だけでなく、仕事の効率性や体調維持を考えても、涼しい格好で過ご
すということに利点が多いのは事実である。特に私のように暑がりで汗かき
の人間にとっては、軽装で仕事をしてもいいというのは、心の底からありが
たいことである。
しかし、現行の「クール・ビズ」には、いくつかの問題点がある。先ず一つ目
は、みんな軽装に慣れていないのでとても見苦しくなってしまうということ
である。普通のスーツ姿からネクタイだけ取ったという格好が一番多いのだ
が、やはりこれは見苦しい。しかし、急にネクタイなしの軽装といわれても、
それに適した服をみんな持っていないのだから仕方がない。
二つ目は、本会議場や正式な会合には、「クール・ビズ」では入れないとい
う点である。で本会議場は今でもネクタイ、上着着用でないと入場禁止
ある。こうなると、「クール・ビズ」を着ながら、ネクタイと上着を持ち歩いたり、
もう一着スーツを持ち歩いたりと、余計に面倒なことになる。
三つ目は、国会や党本部などを警護している衛視さんたちの気苦労が増
えるということである。スーツを着て議員バッジをしていると、顔をはっきり覚
えていなくてもだいたい議員がどうか判別できるが、みんなが軽装だとそれ
が難しい。議員会館入口や、自民党本部の入口として止められて憤慨したり、
ショックを受けていた同僚議員がいたが、衛視さんたちの身になってみれば、
不審者を通すわけにはいかず、議員を不審者と間違えるわけにもいかず、
かなり大変だと思う。
結論としては、「クール・ビズ」=「夏の軽装」ではなく、沖縄の「かりゆし」や
東南アジアや中南米で着用されている開襟シャツのように、「夏の正装」を
正式に決めて、その格好であればどんな正式な場でも許されるという共通
認識を作るべきではないだろうか。夏にスーツを着なくてもいいということに
ついては、大賛成なので。
和歌山新報2005年7月5日 「がんばってます」 掲載
|