| 国会通信 by 谷本たつや 2005.3.1(第29号)
磯ノ浦を救え・・・どうすれば砂浜を取り戻せるか
小学校の頃、北島橋のすぐ近く、和歌山市福島に住んでいた。いわゆる
「川北(紀ノ川の北側)」が生活圏だったので、夏休みは和歌浦の海岸で
はなく、「磯ノ浦海水浴場」に行くことが多かった。磯ノ浦の海で父親から
泳ぎを教わり、おかげで小学校のプールで1キロメートルの遠泳に成功し
た二人目の生徒になれた。
もう30年近く前の記憶ではあるが、当時の「磯ノ浦」は子供の私にとって
は、とても楽しい場所であり、その砂浜は他の海に比べて広く大きく拡が
っていたように覚えている。幼少時代を和歌山で過ごした人なら、「磯ノ浦」
に何らかの思い出を持っている人が多いのではないだろうか。
また最近では、「磯ノ浦」はサーフィンのメッカとして全国にその名を知られ
ている。一年間を通して、関西中のサーファーが波を求めて、この砂浜に
やってくる。このサーフィンと夏の海水浴客を合わせると、「磯ノ浦」には
年間80万人近くの人が訪れる。観光立県を目指す和歌山にとっては、
貴重な観光資源の一つと言えるだろう。
この「磯ノ浦」が、実は今、「危機」に瀕している。
昨年の度重なる台風の襲来で、砂浜表面の砂が、厚さ1メートル分ごっそり
と削り取られてしまったのである。さらに、流されてきたのか、元々埋まって
いたのか、たくさんの小石が砂浜の表面を覆い、もはや「砂浜」とは呼べ
ない状態になっている。サーフィン連盟の友人から話を聞き、直接見に行っ
たのだが、あまりのひどさに驚いた。サーフィン側の砂浜は「砂利浜」としか
言いようがないくらいたくさんの小石に覆われ、海水浴場側も小石が散乱し、
とても現状のままでは使えない状態である。
何とか砂を入れて元通りにできないかと思い、行政にも相談した。砂を買っ
て入れるとなると「磯ノ浦」の規模だと数億円かかる。しかし県にも市にも予
算がない。国のほうでも調べたが、海岸に砂を入れるだけという事業そのも
のがない。お金をかけるという意味では、まったく行き詰まってしまった。
しかし、この話を和歌山の若い人たちにしたところ、こんな答えが返ってきた。
「みんなで磯の浦に行って、石を拾いましょう。」
確かに、残された方法はもうそれだけしかないかもしれない。簡単に「拾う」
といえる量ではないが、何もしないよりはマシである。できるだけたくさんの
知り合いに声をかけて、力を合わせれば、少しは砂浜を取り戻せるかもしれ
ない。そう考え始めた。
「磯ノ浦」に思い出のある人もない人も、是非一度、現状の「磯ノ浦」を見に
行って頂きたい。「磯ノ浦」をこのまま放置するかどうかは、ふるさとを想う
心の問題だと、私は感じている。
和歌山新報2005年3月1日 「がんばってます」 掲載
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