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自衛隊は安全な所だけ?

03.12.15 

外交官は危険でもいい?

イラクにおいて、日本人外交官が殺害された事件は、非常
に残念で痛ましいことである。治安が極めて悪化している
中で、外交官としての職務に全力で取り組まれた姿勢に
深い敬意を表するとともに、そういう活動を標的にした「テロ
行為」に対して、言い表し難い憤りを感じている。

奥克彦大使は、イラクに赴任する直前、森前総理に会い、
次のように述べられたそうである。「今、ヨーロッパにいる外
交官の中で、イラクに行けるのは自分だけだと思う。現場を
知る者としては、国連任せでは無理だと考えている。やる
気のある国が中心になって取り組むことが大事だ。」 また、
外務省や友人に宛てたメールの中でこうも言っている。
「イラクの子供たちの瞳を見ていると、少しでも何とかしてあ
げたいという気持ちが強くなる。そして彼らが成長した時に、
日本という国に感謝の気持ちを持ってもらえれば。」

奥大使と親交があったイギリス在住の評論家マークス寿子
さんは、新聞紙上で次のように述べられた。「自衛隊派遣で
危険かどうかが議論されているが、それでは、訓練を受けた
自衛隊員も派遣できない所に外交官を平気で送っていること
になる。外交官は死亡しても自衛隊員はけがすらしてもいけ
ないというのはおかしい。外交官を派遣する時点で自衛隊の
護衛をつけるのが筋だった。」

外交官は危険な所にも出すが、自衛隊は安全な所にしか出
せないという議論は、よく考えてみれば非常に奇妙な議論で
ある。自衛隊は本来、危険な任務を行なうために、巨額の税
金を費やして装備を整え、訓練をしているのである。「自衛隊
は安全な所だけ」という本末転倒な考え方が出てくるのは、
日本が「自衛隊」そのものの位置付けをごまかし続けてきたこ
とのつけである。「自衛隊は軍隊である。その主任務は、@自
衛のための戦争、A大規模災害時の救助活動、B国際貢献
の3つである。」このように明確に決めていれば、自衛隊を出す
か出さないかという議論はあったとしても、「安全かどうか」な
どという議論は出なかったはずである。


世界中には、紛争が絶えず、治安が悪く、人道復興支援を必
要としている国がたくさんある。そしてその支援を前へ進めて
いくためには、軍隊による治安の維持と文民による復興支援
は車の両輪である。どちらが欠けてもその活動は成功しない。
日本が国際社会において発言力を失い、エネルギー問題や
貿易問題についても不利な扱いを受け、国際紛争が起こって
も他国に助けを求めず、経済も今以上に縮小することを覚悟し
てでも、国際貢献には参加しないという決断をするのであれば、
それも一つの道である。

しかし、今まで通り石油を消費し、今まで通りの生活水準を維
持し、国防体制の一部を他国に依存し、経済の建て直しにも
取り組むというのであれば、国際貢献は、危険が伴う任務であ
っても避けては通れない。いいとこ取りはできないのである。

日本は、長年ごまかし続けてきた「自衛隊」の位置付けを、明
確に決め直さなければならない時期に来ている。

和歌山新報2003年12月15日 「がんばってます」 掲載

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